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2020.05.13 Wednesday

コロナ・パンデミックと禅(4)

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コロナ・パンデミックと禅(4)

丸川春潭

 国民の多くがstay homeしただけで、多くの失業者が発生し多くの路頭に迷う人が出てしまう。車の販売が減り自動車会社(トヨタ)の営業利益が80%下がる。車が売れないと小生の縁のあった製鉄会社の高炉が次々に送風停止に追い込まれる。高炉が止まると製鉄所の下工程の多くが連鎖的に止まることになり、製鉄所本体よりも多い従業員を抱える下請けに激震が及ぶ。そして製鉄所を中心にした街の賑わいが消えてしまう。お花屋さんから物づくりの大会社まで、小学生からお年寄りまでの国民全体を巻き込んだ恐ろしい未曾有の社会実験が、日々目の当たりに展開して行くこの頃である(5月13日)。 

1.コロナ騒動を通じて見えてくる日本の特徴

 日本の政府のアクションは外国のような権力による強制ではなく、罰則のない自粛要請だけなのに、外出が激減しコロナが終息して来ている。しかも欧米の感染発生人数や死者数は50〜100分の1と低レベルに押さえ込めそうである。これは世界的に見れば、あり得ないことではないか? 規制も遅く緩くても粛々とコロナ対応が市井の隅々で実践されたからである。東日本大震災後の日本人の整然とした災害対応の態度に、世界のマスコミが驚愕したと同じ状況がまた再びここでも出ている。辛口ジャーナリストの門田隆将のTwitter(5月9日)では、「医療従事者の使命感と気迫、国民皆保険を成し遂げた先人、世界に冠たる衛生観念、新薬開発への科学者の執念、不安の中でも我慢と辛抱で自粛に従う精神力…コロナ禍が過ぎ去った時、世界は日本の真の力に驚嘆するに違いない。5月末まで精一杯の闘いを。日本人はやる時はやる。」には共感し、いいね!です。

 しかしなのに、依然として自殺者の数は世界のトップクラスであり、また日本人は自分に対してまた国に対して自信が持てない(参考情報1.)のはどこから来るのか?

 そして自国内での自虐とも云えるコップの中の諍いが絶えない。すなわち、コロナが中心の国会審議のレベルの低さは目を覆うばかりである。特に野党は政府を追及して選挙の受けを狙う質問姿勢が目に付き、云っていることの中身は重箱の隅ほじくりに終始している。SNSにおいて党利党略優先でコロナから如何にして国民の命を守ることを後回しにしているとの酷評メールが炎上している。まことに残念なことである。同じようなことが朝日系マスコミのねじ曲げを含むアンフェアな報道にも辟易である。世論調査に出ているように政権への不満を増強させている成果は出ているのでしょうが、自分たちの支持率もどんどん減らしている状況は、まさにコップの中の些末な争いを国会で代議士連がやっている。これもまた日本である。

2.コロナ終息後の社会はどうなるのか、どうなるべきか?

 このコロナ後の世界は決して元通りにはならないと云われている。もともと経済を中心にして波乱含みの現代社会(参考情報2.)であるが、それがこのコロナショックでどう変わってゆくのか?どう変わるべきなのか?

 5月11日7時のNHKラジオで、全国的にいろいろな形のNPO的助け合いの活動が草の根的に出てきているニュースを聞いて清々しい朝になった。マイケルハート(米国、思想家)は中間層の中からの“common”の台頭が次の社会を切り開くと云っている(参考情報3.)が、その萌芽が既に日本でも出てきているのを感じた。

 フランス思想家・経済学者ジャック・アタリ氏は、アメリカやブラジル等に見られるように中央集権が強まり、権威主義にシフトするのではないかと危惧している。そしてアタリ氏は、”パンデミックと言う深刻な危機に直面した今こそ、「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返らねばならない。協力は競争よりも価値があり、人類は一つであることを理解すべきだ。”と説き、“利他主義という理想への転換こそが人類サバイバルのカギである。”と(参考情報4.)。

 利他主義とはどういうものであり、この利他主義へのパラダイムシフトをどう現実に日本で進めたら良いのかが問題である。経済学者・思想家であるアタリ氏の云わんとする方向性は、我々在家禅者にとってはよく判り同意するものですが、それへのアプローチは全く違うものになるでしょう。そもそも氏の説く「利他主義」を我々はコロナ以前から、遡れば72年前の人間禅発足の時から堅持しており、既にその目的に向かってのアプローチを実践して来ているのである。ただ我々のアプローチをパラダイムシフトにするためのstrategy(戦略)は全く見えてないのが残念なところである。

 我々は一隅を照らすほどの遅々とした利他心の普及を継続するしかないのであるが、しかしこういう世界の多くの思想家の方向性の一環の中で我々は日々精進努力しているという自覚は必要なことであり、こういう人達との連帯を意識することは大切なことである。(未完)

 

参考情報1.日本財団:https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2019/20191130-38555.html

参考情報2.NHK放映の「欲望の資本主義」のジョセフ・スティグリッツ、安田洋祐

参考情報3. マイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソン、斉藤幸平の『未来への分岐』

参考情報4.NHK―ETV4月15日「緊急対談 パンデミックが変える世界 〜海外の知性が語る展望〜」

 

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