老師通信

人間禅の老師による禅の境涯からの便りです。
人間禅のホームページにもお立ち寄りください。

人間禅のホームページはこちら 老師通信一覧はこちら

 

<< 古くて新しい「座禅」、易しそうで深い「座禅」(6) | main | 古くて新しい「座禅」、易しそうで深い「座禅」(8) >>
2013.10.18 Friday

古くて新しい「座禅」、易しそうで深い「座禅」(7)

JUGEMテーマ:

 

――古くて新しい「座禅」、易しそうで深い「座禅」―(7)―

丸川春潭

 台風一過の秋晴れの朝、百舌がしきりに鳴いております。百舌の名前も面白いですが、よくしゃべるからこういう名前になったのでしょうか、何でもよく食べるところからこの名前を付けられたのでしょうか?

 「百舌の声聞いて寝覚めの難からず」拙句 

 

 前回の続きの「三昧」の説明の三回目です。

 三昧の三番目の意味は、「正受にして不受」の三昧であります。すなわち、この三番目の三昧の意味は、正受であり且つ不受であるところの三昧という意味であります。

 

 正受とは、明鏡が物を映すように、そっくりそのまま受け入れるということであり、三昧になるとこれが出来るようになるというのであります。

 不受とは、明鏡の前から物がなくなれば、鏡には物は跡形もなく消えてしまうということであり、三昧になるとこれが出来るようになるというのであります。

   

 数息三昧でいいますと、数息観をしているとき、庭で百舌が鳴く、目の前を蚊が過ぎる、下の典座(台所)から美味しいにおいがする。百舌の声、蚊の姿、美味しいにおいをそのまま受け止めるが、それを聞いたまま、見たまま、嗅いだままで二念を継がない。数息観は淀みなく続く。(正受)

 何が聞こえても、何が見えてもそのまま写し取るように見え、それがなくなれば、見えなくなり聞こえなくなり臭わなくなるだけで、数息観は淀みなく続く。(不受)

 数息観でも後期の熟達のレベルであります。

 

 禅の著語に、この「正受にして不受」の三昧を的確に歌った句があります。

 「雁長空を過ぎて影寒水に沈む、雁に遺蹤の意なく水に沈影の心無し」

 雁が湖の上に掛かると、雁の姿がそのまま水に映る。雁が湖の上を通り過ぎると、湖面の雁も映らなくなる。雁は水に映ろうという意思を持たず、また水の方も雁を映そうとする心はない。

 

 また、社会生活においても、この三昧力は有効に働きます。近年、情報社会の中では、便利には成りましたが、極めて多義にわたる情報が交錯し積層して入り込んできます。我々はそれに対応して行かねば生きて行けません。

 まさに、正受と不受をきちっと実践していなければ、仕事にならないし、そればかりでなく健康な精神を維持してゆくことも難しい時代なのであります。

 

 情報対応に止まらず、家庭生活、会社生活、様々な日常の生活の中で、場面は連続してどんどん変わって行くのですが、その主体の人間は替わらないので、その場面その場面、そこの役割・役柄毎に、この正受と不受を鮮やかに繰り返し使って行じねばなりません。

 「自ら瓶を携え去って村酒を買い 却って衫(サン:裃)を着け来たって主人となる」

 

 これが鮮やかにきちっと行じられれば、随所に主となることが出来ますが、それが中途半端な正受・不受になると、鮮やかな立ち居振る舞いが出来ないばかりか、精神的な疲れがどんどん蓄積してくることになります。

 

 現代社会で、精神的正常さを保持することは極めて難しい、人類史上経験のない時代であるといっても過言ではなく、意識的にそれに対する対応策を講ずる必要があります。

 まさに、昭和時代のリクリエイションから始まって、最近の種々の癒し系が取り揃えられておりますが、根本的な対策にはなりません。

 根本的対策は、この三昧を日常生活の上で行ずることであり、そのための一日一炷香の行(一日に一回は、線香一本の時間約45分間の数息観の座禅行)の実修こそが、最も根本的な対応であることを多くの人に知らしめる必要があると考えます。

   

 以上、三昧に三種類の意味があることを説明いたしましたが、これは解析であり解釈であります。実際はこの三つが一体となっているのが三昧であります。

 そして、三昧は解析し、解釈しても、判ったようで決して判るものではありません。実際に長年座禅を行じ、このタイトルにあるように、まさに「易しそうで深い」数息観座禅を自ら味わって頂かないと判らないものです。

 

 難しいお話しにお付き合い頂きお疲れ様です。合掌

 

コメント
コメントする








 
Calendar
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< August 2020 >>
Selected Entries
Categories
Archives
Recent Comment
Profile
Search this site.
Others
Mobile
qrcode