古くて新しい「座禅」、易しそうで深い「座禅」(13)

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――古くて新しい「座禅」、易しそうで深い「座禅」―13)―

丸川春潭

 秋たけなわの今日この頃、日本の秋には菊が相応しい。

 菊のことを別称として「隠逸花」という。目立たない陰に咲いてもその香りによってその存在が知られるという意味で付けられたのでしょうか?

 利休が、正親町天皇から利休号を賜ったとき、千宗易(利休)の参禅の師である大徳寺の古溪和尚が祝意を込めて贈った偈頌の一節に、「風露新香隠逸花」という句がある。

 菊の花の花言葉は、「高潔」「高貴」だそうです。

 

 前回までは、一日一炷香の短期的な必要性とその効果についてお話ししてきました。すなわち、今日の一日を自分の持っている個性も含めて全力を発揮するために、今日の一炷香の座禅が必要欠くべからざるものである、ということでした。

 これは一日一炷香の座禅の短期的な効果について述べたものであります。しかし、一日一炷香の大切さは、これだけではなく長期的観点での効果もあるのです。

 

 耕雲庵老大師が『数息観のすすめ』で書かれていることですが、旧制第二高等学校の学生時代に、東北帝国大学総長の奥様(瑞巖窟老師の法を継がれた方)が、一日一炷香の大切さを諭され、「私はそれを正直に実行してきたのです。もし私が心から“今日あることを得たり”ということを許されるなら、全くこの奥さんのお陰である。今に感謝している次第であります。」と述べられている。

 これは人間形成の修行の肝心要(かなめ)なことを白状されているのです。

 

 数息観座禅による三昧状態、すなわち前頭葉の活性状態は、睡眠によって大部分は元にもどってしまうと申しましたが、実は少しは次の日以降にも持ち越され「三昧に関わる何か」が残留しているのです。

 

 「三昧に関わる何か」には、三昧に入る時間が早くなるとか、三昧のレベルがだんだんと深くなって行くとか、いわゆる三昧が身についてくると言うことであります。

 

 東邦医科大学の有田秀穂教授は、坐禅の呼吸法を継続し続ければ、セロトニン神経を恒常的に高いレベルに維持することが可能になる。」と表明されています。

 

 また、京都大学医学部名誉教授の本庄巌医学博士は、「数息観を長年継続することにより、前頭前野を活性にする機能を小脳化(集中力・三昧力を短時間に深く強くできる体質化)し、集中力・三昧力が身に付いてくる。」と申されています。

 

 耕雲庵老師の絶大なる人格にいたる人間形成に、大きく寄与しているのが長年の一日一炷香の積み重ねであります。それを最新の脳科学から有田先生、本庄先生がそれを証明しているのです。

 

 肝心なことは、一日一炷香という地味な「行」を、この生き馬の目を抜く繁忙な生活の中で、優先順位を上げてsteadyに毎日毎日継続して、10年20年30年やれるかどうかということです。

 

 少しずつの積み重ねが、数十年経つと雲泥の差になってくるのです。

 ローマは一日にしてならずです。   

今日はここまで、さようなら 春潭

 

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