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2020.02.21 Friday

自利と利他

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自利と利他

丸川春潭

 令和2年2月の東京支部摂心会の講演として「自利と利他」について話して欲しいという要望がありお話ししました。このブログはその要約のつもりで認めます。

 先ず自利というものは、自分の人格形成・人間形成を図る行為であり、利他は他人の人格形成・人間形成を図るのを助ける行為と定義しておきましょう。

 自分が食べたものが美味しいと感動したら、これを周りの人に食べさせてあげたいと思うのは人間としての本能だと思います。自利の実践した結果を振り返って良かったと感動したら、自然と周りの人にこの感動体験を勧めるのが本能であり、この行為が利他になるのです。

 したがって、利他は自利と繋がっているという考えが、この話の骨子になります。すなわち、自利と繋がっていない他に対する働きかけは利他とは云えないと考えています。自利と繋がらない他人への働きかけは、お節介とか押しつけであり、またそれが上から目線の場合は指導・教導と呼ばれるべきと考えます。

 もちろん指導を受けたりお節介をしていただいたお陰で、人間形成への道にご縁が出来たり、行き詰まりを打開できたりすることはよくあることであり、利他でなければならないと云うことではありません。

 ただ云えることは、利他行をしなさいと勧めるのは本来的に云えば筋違いなことです。利他行は、あくまで自利から自然に湧き出てくるものです。

 客観的に、利他行が全く出来ていない人がいますが、こういう人は自利で本当に良かったという感動が少なく弱い場合ではないかと思います。人間形成というものは、自分の殻を破り目から鱗が落ちるもので、それが破られる前には師家に参じても振られるだけで苦しいものです。しかしそこの百尺の竿頭の先に一歩踏み出すことによって愕然と殻を破るものであり、このときの快哉はこの修行をしてきて良かったと人によって強弱はありますが例外なく思うものです。したがって強弱はありますが、人間形成の禅の修行を継続している人は遅かれ早かれ何度かはこの自利の喜びが必ずあるものであり、したがって例外なくそこから利他心が生じ利他行が出てくるものです。

 ただこれは公式図式であり実際にはいろいろな形があると思います。小生の場合の自利と利他の事例を参考までに申し上げますと、入門したのが大学1年の秋、見性したのが翌年の3月末でいずれも中国支部(現岡山支部)耕雲庵英山老師でした。大学の同級生の三上栄子さん(現、家内の鶯林庵玉淵)を阪神支部の例会に誘ったのが2年生の秋?で、彼女が入門したのが大学3年の夏休み、見性したのが4年の夏休みで場所はいずれも房総支部主催の長野県飯田市長久寺で磨甎庵劫石老師でした。これが小生の最初の利他行でしょう。

 次は、昭和38年4月住金和歌山製鉄所に入社してからで、1年くらい経ってから社宅に同期の友人や職場の同僚を誘って座禅を一緒にしました。自分の一日一炷香を確実にする効果は間違いなくあります。この輪が広がり2、3年くらいしたら座禅会になり、いろいろな場所を借りて座禅会を月例でするようになりました。5,6年した時点で座禅会の仲間と一緒に和歌山市内のお寺を中心に座禅会場探しを20数カ所やり、窓誉寺にたどり着き、和尚と意気投合して週例静座会がやれるようになりました。会場確保の後に磨甎庵劫石老師にお願いして参禅会(内参会)をやりつつ入門者が増えてきた時点で、阪神支部の和歌山分会(南海禅会)となり、昭和45年には修禅会を開催し、その後の南海支部創立の起点となりました。これが一連になりますが結果として第二の利他行になったと思います。三番目が和歌山在住9年で茨城県の鹿島製鉄所への転勤となり、社宅での身の回の同僚や後輩を誘っての座禅の友づくりが始り、これが坂東支部(現茨城支部)に発展して行くのですが、詳細は割愛します。

 これらは要するに、自利の感動を周りの人に勧めるというよりは、自利の感動を長く続けより大きくするために周りの人に声を掛けたという感じがします。もちろんその人のために勧めるという気持ちも間違いなくありますが、自利のつづきに利他がくっついているというのが小生の場合の実態であったと振り返って反省しています。自利を離れて利他はないのですが、利他行は百人百様の形があると思われます。合掌

 

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