「科学と禅」その12
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「科学と禅」その12
丸川春潭
今回で、「科学と禅」の講話は終わりになります。
最後のお菓子は、人間禅本部道場のある市川市真間の「手児奈の里」という和菓子です。
このお菓子は、昔から伝えられている「手児奈姫」の悲しい伝説に基づいた古くからの地元の銘菓です。
小生がこのお菓子を知ったのは、同じ郷里の岡山の大先輩であり、小生が人間禅にご縁を頂いた頃に大変お世話になり、後に老師になられた澄徹庵大重月桂老師(岡山慈恵病院院長)から、本部道場へ行ったら土産は、手児奈の里が一番だと教えられてからでした。50年程前のことです。
ふわふわの餅にサイコロ状の羊羹が散りばめられており、あまり甘くなくソフトに癒やされるお菓子です。
甘いソフトなお菓子の後は、ピリ辛のハードなお話しですが、「科学者と禅」についての考察と総まとめです。
最後ですので、もう少しのご辛抱で、最後までお付き合い下さい。
このお話しは、最初に科学と宗教の係わり合いの基本的考え方についてお話し、具体的事例として資源の枯渇および地球環境の今日的問題を挙げて説明をしました。
その結論は、科学者と宗教者がもっと近づき、一緒に考え一緒に働くことが必要であり、それができなければ、人類が持続するための人間社会の仕組みと人間の価値観を根本的に変革する事ができず、地球と人類が、新しい22世紀を迎えることがきわめて難しいということになるとお話しました。
すなわち、科学者と宗教者の協同作業と相互補完を、社会のあらゆる局面において実現することが必要であり、科学は宗教によってはじめて正しい方向付けと新たな勇気を持つことができ、地球と人類の持続に向かって真の発展をすることができるとし、また宗教によってはじめて科学の成果を正しく地球と人類に生かすことができると申し上げました。
また宗教は科学者の支えと先導によって、21世紀にまで持ち越された人類の大きな宿題である各宗教宗派の共存と協調を実現し、世界の恒久平和に道をつけねばならないと考えます。
また科学の進歩によって明らかになって行く真実に即応して、新しい時代の新しい救済のあり方の革新をはかりつつ、宗教の根源を日々に新たにして伝承して行かねばならないと思います。
そして、科学者と宗教者の協同作業と相互補完の理想型が在家禅であると考えています。
科学技術の場だけに限らず、脱俗出家することなく、あらゆる職業人、主婦、学生を含めた社会人でいて、しかも同時に禅の修行をしている人を在家禅者と云います。
在家禅者は、頭頂連合野を充実させ且つ前頭葉も常にしっかり機能させるために、行として一日一炷香の座禅を生活のリズムに組み込んでいます。
在家禅者は、自分自身の中で知性と感性、科学性と宗教性を自然に理想的にコラボレートができる現代人の「形」であり、在家禅(在家禅者)は、これからの新しい宗教のあり方と同時に、これからの地球人の生き方のスタンダードを示すものと考えます。
科学者も弁護士も教師も芸術家も俳優もサラリーマンも主婦も学生も、日本人のみならず地球人全てに当てはまる新しい「形」が在家禅者です。
科学ももっともっと発展しなければなりませんが、宗教(禅)ももっともっと深め広めなければなりません。
禅は宗教の本質を「見、極める」ための方法論を持っています。
過去、現在、未来に一貫している「流れ」が何であるかを掴む方法論です。
何故 自分と、他人のみならず山川草木が「同根」なるかを、思想・哲学レベルではなく、はっきりと体得し確信せしめる方法論とそれを確証する生きた伝法が、人間形成の禅として21世紀の今日に伝わり現存しています。
禅はまた、時代の変化に即応し、そして常に新しい社会の精神的価値基準の拠り所にならなければなりません。
すなわち、自然の摂理を見、極める見性悟道の道は、もっともっと多くの現代人の拠り所にならなければならないと考えます。
我々は、人類の、地球の持続発展を新しい22世紀に向けて物理的にも精神的にも確実にしなければなりません。
これが、先人に対する恩返しであり、子孫に対する責任であると考えます。
長い間、お付き合い頂き有り難うございました。
何かコメントでも頂ければ、幸甚です。合掌
Marukawa_k@sky.bbexcite.jp 丸川春潭 拝
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