老師ブログ

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2015.05.17 Sunday

「座禅の効用」その9「アンチエージング効果」

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「座禅の効用」その9

丸川春潭

 前々回その6,「座禅の精神的安定効果(セロトニンの効果)」について、最近の脳科学の知見もご紹介しながら、座禅によってセロトニンの分泌を促し、精神的なストレスレリースを図り、精神を安定させる方策とすると云うことをブログしました。

 

 今回は、それの続きとしてセロトニンの効果の具体的な事例を上げてご紹介したいと思います。

(2)睡眠効果(アンチエージングの事例―1)

 若い頃は寝つきもよく夜中に目が覚めることも無かった方が、中年を過ぎたあたりから、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたらその後眠れなくなったりするのは、交感神経に比べて副交感神経の働きが低下することにより、睡眠を司る自律神経が機能しなくなって睡眠障害が生じるものと考えられます。

 これに対する対策としての入眠促進法として西洋では、「羊が一匹、羊が二匹・・・」と数えることによって眠りにつく方法が一般的にあるようですが、日本では数を数えるのが一般的なようです。私は息を数えて入眠するのを50歳代くらいからやってきましたが、これら羊を数えたり数を数えることは、頭頂葉の働きを沈めて交感神経を押さえ、また副交感神経を活性にすることによって、両方のバランスが取れ、自律神経が機能しだすものと考えられます。

 しかし50代は数息観法で直ぐ眠れますが、60代、70代になると更に副交感神経が低下してきますので、また更に交感神経を低下させ副交感神経を活性にするために、より深い三昧が必要になります。すなわち数息観法も本当に深い数息観法ができなければ、自律神経を正常に機能させて寝たい時に眠れるということが難しくなるのであります。

 先師磨甎庵老師からお聞きした話で、老齢になられた両忘庵宗活老師が体調を崩され、医者の診察を受けそして医者から少しお休み下さいと云われて、医者が後片づけをしている間に直ぐ寝息を立てて眠られたということで、その場に居合わせた医者や弟子が驚いたということであります。磨甎庵老師は両忘老師の三昧力の凄さに感心されているのを一度ならずお聞きしました。

 小生の経験でも、息を数えない忘息観法による方が、息を数える数息観法よりも入眠しやすい経験を持っております。これはエイジングによる自律神経機能の低下につれて通常の数息観法の段階では、頭頂連合野が呼吸を数えるということで未だ動いているが、息を数えない正息観法または忘息観法が徹底できると頭頂連合野がより完全に活動を停止し、交感神経を更に低く押さえることができるためではないかと考えています。

(3)一般的生理現象(アンチエージング事例―2)

 交感神経が強く働くときの私たちの精神状態はどんな状態なのかといえば、ストレスが非常にたまっている状態であります。現在は精神的ストレスの負荷の大変掛かる時代であり、老若男女精神的ストレスにさらされている状態であります。ストレスがたまってくると交感神経が異常に高ぶり、副交感神経とのバランスが崩れ、自律神経障害が生じてくるのであります。

 一般的生理現象として、精神的胃腸障害にしても、心臓を中心にした循環器不全にしても、性機能不全にしても精神的ストレスから来る自律神経障害が原因になっているケースが非常に多くなっていると云われています。

 これら生理現象がエージングによって増加することは一般的傾向だと認められていますが、これらの経年生理現象が人によって大きな差が生じているのは人間形成のレベルの差によるもので、それは三昧が身に付いている度合いが生理現象の大きな差になるからであります。三昧が身に付けば、自律神経を正常に機能させ、いわゆる年をとらないで壮年状態を永く保てるものと考えます。

 

2015.05.17 Sunday

「座禅の効用」その8「自律神経のバランスを良くする効果」

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「座禅の効用」その8

丸川春潭

 前々回その6,「座禅の精神的安定効果(セロトニンの効果)」について、最近の脳科学の知見もご紹介しながら、座禅によってセロトニンの分泌を促し、精神的なストレスレリースを図り、精神を安定させる方策とすると云うことをブログしました。

 

 今回は、それの続きとしてセロトニンの効果の具体的な事例を上げてご紹介したいと思います。

 

 座禅によってセロトニンの分泌が促されると前々回書きましたが、このセロトニンが自律神経と非常に密接に関わっているようです。即ち正常に機能する自律神経にはセロトニン物質が必要のようです。

 

 自律神経とは、胃や腸を動かす、呼吸する、体温を調節するなど、 人の生命を維持するシステムの調節に関わっている神経のことであります。 血流の善し悪しが体に与える影響が大きいことは既にいわれていますが、 血流をコントロールしているのも自律神経であります。

 

 自律神経には相反する働きをする二つの自律神経(交感神経と副交感神経)があります。このうち、 心身が興奮するときに優位に働くのが交感神経で、心身がリラックスするときに優位に働くのが副交感神経であります。これまで、この自律神経の二つの働きはシーソーのように入れ替わり、どちらかが高くなるとどちらかが低くなるといわれてきました。 しかし、小林先生(順天堂大学医学部教授小林弘幸先生)によれば、それは正しくないようです。すなわち健康上、理想的なのは、交感神経の働きも副交感神経の働きも、ともに高い状態を維持できていることが大切であり、双方の差が大きく開き、どちらかの優位性が過剰になってしまうと、 血流が悪くなるとか免疫力が低下するなど、さまざまな弊害があらわれると云われています。

 ストレスの多い現代人は、とかく交感神経が優位になりがちであり、しかも近年、自律神経のバランスは、加齢によっても変化することがわかってきているそうです。 小林先生が男女の年代別の自律神経の働きを計測したところ、交感神経のレベルに大きな変化は見られなかったが、 副交感神経のレベルは、加齢とともに低下するようであります。この副交感神経の働きの低下こそ、寿命の差や健康状態、体力の低下、免疫力の低下に大きく影響していると考えられます。まさにエイジング効果として、何もしなければ自律神経の力は次第に低下していきます。中年以降、健康や若さを維持したいなら、副交感神経の働きを意識して上げることが必要になるわけです。この副交感神経の働きを意識的に上げる工夫が、アンチエージングとしてあり、それが三昧を身に付けることによってなされるのであります。六十才以上になって、暦年の老化に個人差が大きく発現されるのに、人間形成のレベルが反映するのであります。

 

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